6月15日施行が決定の民泊新法。パブリックコメント実施の意味はあったのか?

日本政府は、先の10月24日に住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)施行令を閣議決定したことを発表しましたが、その前段として施行令案に関するパブリックコメント(意見募集手続き)を9月21日〜10月11日の21日間にかけて実施していました。

閣議決定した内容の詳細はこちらから

10/24の閣議で民泊新法の施行は2018年6/15からと決定!これから広がる民泊ビジネスの行方

パブリックコメントを募集する際にあたっては、もともと30日以上の期間を設けるルールがあります。今回の民泊新法施行令の提出期間は21日で、30日を下回っていますのでこれは特例であるのですが、なぜでしょうか?

その理由を以下のように説明していました。

地方自治体が住宅宿泊事業などに関する事務手続きを速やかに開始することができるよう、関係政省令を早急に制定する必要があるため

が、今回パブリックコメントを受けての修正はまったく反映されていないものとなりました。

Zensからももちろん意見を提出しましたが、新経済連盟(代表理事・三木谷浩史)の意見が代表的なものでもありますので、併せて以下に引用しながら、この問題点・課題点を明らかにしていきましょう。

総合的な問題点はなにか?

経過措置規定について不明確

民泊新法の経過措置規定により、同法の施行に先立って住宅宿泊事業者による届出や、仲介事業者及び管理事業者による登録申請が可能となっているが、以下の点が不明確

  • 仲介事業者が施行前の時点で適法な届出物件を自社サイトに掲載し、施行後の日付の宿泊予約を受け付けること
  • 不在型の場合の住宅宿泊事業者の届出を行う際には管理事業者名を記載する必要があることになっているが、当該管理事業者として登録申請中の管理事業者を記載すること

政令による経過措置整備等により上記が可能であることを明確化すべき

総合的な問題点

  • 違法な住宅宿泊事業者や仲介事業者に対しては厳正な取締りが行われるべき。その際、国内外の事業者間で不平等が生じることがないようにすべき
  • 180日規制については、ホームシェア普及の足かせになることが懸念されることから、将来的な見直しが検討されるべき

1.住宅宿泊事業法 施行規則 概要(2)人の居住の用に供されていると認められる家屋(法第2条第1項第2号関係) について

民泊物件において、現行法で禁止されていない時間貸し(会議室やパーティ利用など)が妨げられないようにすべき

なぜなら、

  • 時間単位でスペースを有効活用することは、遊休資産の活用として極めて有効な方法であり、風俗営業のような形態を除いて禁止される理由はない
  • 個人が住居を用いて適法な時間貸しを行ったからといって、住居としての性質が失われることにならない
  • 宿泊日数については住宅宿泊事業者や仲介事業者からの報告による把握が可能であり、民泊物件における時間貸しを制限する理由にはならない

実際に、それまで使用されず長期間放置されていた空き家がリノベーションにより再生し民泊に活用されることは地域経済に大きなメリットがあります。

(4)届出(法第3条第2項及び第3項関係) について

  • 個人が住宅宿泊事業者となることを踏まえ、添付書類は可能な限り簡略化して最低限のものとし、登記事項証明書については不要とすべき
  • 管理組合において「禁止決議がないこと」については、届出者が何らかの方法で確認したことを宣誓する書類等で足りることとすべき

(7)宿泊者名簿(法第8条第1項関係) について

  • 宿泊者名簿は電子的方法による作成が可能であることを明確化すべき(家主不在型で管理事業者が名簿を作成する場合も同様)
  • 宿泊者名簿は届出住宅に「備え付ける」とあるが、電子的方法による作成の場合は、例えば、クラウドを通じていつでもどこでも閲覧できるようになっていれば、「備え付けている」ことになることを明確化すべき

(8)周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明(法第9条第1項関係) について

  • 口頭でなく書面による説明が基本とされていることについて賛成
  • 説明方法として電子的方法(例:タブレット画面への表示)も含まれることを明確化していただきたい。また、メール等により事前に宿泊者に送信する方法も認められることを明確化すべき

(9)住宅宿泊管理業務の委託の方法(法第11 条第1項関係) について

管理事業者への委託が義務付けられる不在型民泊の範囲が不当に広くならないようにするため、住民票所在の自宅であれば出勤等により外出することがある場合であっても、原則として「一時的な不在とされるもの」に含めることとすべき

なぜなら、

  • 自宅であれば外部不経済の問題は少なく、かつ、自分自身で管理することが基本的に可能
  • 仮に委託が義務付けられた場合でも、自宅であれば、実際の管理は通常はオーナーが自分自身で行うことになると思われる。その場合、オーナーが管理業者から業務の再委託を受ける形になると思われるが、これは無用な中抜きを発生させるだけであり非効率的

3-2.住宅宿泊管理業関係(15)帳簿の記載事項(法第38 条関係) について

帳簿については、電子的方法で作成してもよいことを明確化すべき。また、民泊新法上、営業所又は事務所ごとに、帳簿を「備え付ける」とあるが、電子的方法による作成の場合は、例えば、クラウドを通じていつでもどこでも閲覧できるようになっていれば、「備え付けている」ことになることを明確化すべき

(17)住宅宿泊事業者への定期報告(法第40 条関係) について

  • 住宅宿泊事業者への定期報告書についても、電子的方法による作成及び交付で問題ないことを明確化すべき
  • 法第35条(管理業務の再委託禁止)において丸投げの禁止が規定されているが、管理業務の一端でも自ら行っていれば違反とはならないのか、違反とされる基準を具体化すべき

3-3.住宅宿泊仲介業関係(9)住宅宿泊仲介業約款(法第55 条第1項及び第4項関係)&(10)住宅宿泊仲介業務に関する料金(法第56 条第1項関係) について

仲介事業者の料金については、約款等において定率により定めることを義務付けるのでなく、仲介事業者を利用する宿泊者及び住宅宿泊事業者いずれに対しても、申込み完了前の段階において料金が容易に認識できるように表示する旨の規定とすべき

なぜなら、

  • 申込み完了前の段階で料金が表示されていれば、利用者保護の観点から問題がないため、約款等への記載を義務付ける必要がない
  • 約款等において料金ないしはその制定基準を定めることにより、需給の状況等に応じた柔軟かつ機動的な料金設定が制約されてしまう
  • OTAガイドラインと民泊新法の規律との間で平仄(ひょうそく)をとるべき

(12)住宅宿泊仲介契約の締結前の説明事項(法第59 条第1項及び第2項関係) について

旅行業の登録を受けた事業者であれば、民泊新法における仲介事業者として登録を受けることなく、旅行業法の規律に従い民泊物件の仲介を行うことが可能な制度となっている。そのため、住宅宿泊仲介事業者に対する規律は、観光庁の「オンライン旅行の表示等に関するガイドライン」(OTAガイドライン)との平仄(ひょうそく)をとった規律とすべき

仲介契約の締結前に書面の交付に変えて用いることのできる電磁的方法は、メールによる送信のほか、「予約画面上、説明事項が表示され、宿泊者が内容を確認できるようにする方法」も含まれることを明確化すべき

なぜなら、

  • 契約締結前の段階で、仲介事業者から宿泊者へメールを送信し、その後申し込み・契約締結手続をしなければならないとすると、仲介事業者のシステム改修等の過度の負担が生じるだけでなく、宿泊者の利便性も損なわれる
  • 利用者保護の観点からは、仲介契約締結前の段階において、予約画面上、利用者が締結前に説明事項を確認できるようにすれば十分である。

まとめ

民泊新法は全国的に民泊を解禁するもので、これまでホテルなどができなかった住宅街でも民泊営業を可能とするもの。今後の成長が大きく期待される分野でもありますので、本法律にも同様に期待が注がれています。その点で、今回のパブリックコメントが事実上無視された点について残念だという声も少なからず聞こえています。今後の対応に改めて期待をしましょう。