清掃は「現場で起きている!」 トップクリーナーの一日に密着

民泊にはたくさんの「縁の下の力持ち」がいます。

今回はZensが運営代行を請け負っている物件を清掃するクリーナー約40人の中で、「清潔さ」項目の5つ星レビュー獲得率が95%以上というトップクリーナー、佐藤陽子さんの清掃現場に取材班が同行し、密着取材をしてきました。

5つ星を獲得し続ける清掃のポイントが、明らかになるかもしれません。

清掃時にはどれだけ汚れても構わない格好で

今回清掃する現場は、東京メトロ表参道駅から徒歩12分、南青山の一角にある9階建てマンションの一室。その広さは60㎡の1LDKです。

「おはようございます!」

本日も明るい笑顔で現れた佐藤さん。先日の取材時とは違い、全身黒い服を身に着けていました。黒のTシャツに、黒のハーフパンツ。そして黒のソックスに黒のスニーカー。まるで忍者のようです。佐藤さんは清掃現場に入るときは、汚れてもいいようにいつもこのような格好をしているそうです。


佐藤さんは清掃現場に入るとまず、携帯電話を取り出しました。そして室内の写真を3枚撮影し、文章を入力しています。何をしているのか覗いてみると、LINEを使ってZensオペレーション部に清掃作業開始の報告をするとともに、物件状態の報告をしていました。

目に見えないからこそ大事なにおいケア

報告を終えると、まずは部屋を換気するために窓を開け、換気扇を回します。エアコンをつけることはできますが、それでも夏場は暑く、冬場は寒い環境の中でお掃除をされていることがわかりました。

室内全体を歩き状況把握をしたら、掃除用のマイグッズをリュックから取り出しながら作業計画を頭の中で組み立てます。初めて入る物件や久しぶりに入る物件の場合、この計画を立てるのが難しいといいます。何度も清掃に入って慣れた物件の場合は、最初にベッド周りから着手することもあるそうです。

机や椅子などをウェットティッシュで拭いた後、収納棚の中にある備品をチェックします。洗剤やトイレットペーパーなど、消耗品の残量チェックは一番重要なポイントです。

備品は、少なくなったらオペレーション部に注文するか、自分で百均ショップに行って購入します。購入品のレシートを撮影してLINEでオペレーション部に送信し、立て替え費用は清掃タスクの報酬とともに返金される仕組みになっています。

シーツ、枕カバー、クッションカバーを取り外します。汚れのひどい部分には先に洗剤をつけて浸透させておくと、時間の節約になります。

枕、ベッド本体、クッションなどに布製品専用の消臭スプレーをかけていきます。臭いに関しては、佐藤さんがかなり気を遣っているポイントです。

ここで、先程取り外したシーツ類や食器用布巾、風呂場の足ふきマット、トイレマットなどの洗濯へと移ります。物件や汚れ具合により、洗濯物の量は変わってきます。ソファカバーが汚れていれば洗うこともあるそうです。洗剤が減っていれば、中身の補充も行います。

お風呂やシンクの水滴残りも見逃さない!

作業計画が順調に進むかどうかは、洗濯作業の時間によってかなり左右されます。洗濯物の量を把握し、その量によって洗濯機を1回まわすか2回まわすかを決めます。

また、洗濯機が物件内にあるかないかでも違います。物件にあったとしても、チェックインまでの作業可能時間によって、標準モードにするか、短縮モードにするかといった判断も必要です。

次に、ゴミの分別を始めます。分別が終わると、ゴミ箱の中や上蓋まで綺麗に拭いていきます。臭いが取れるように、清掃中は蓋をあけておきます。一段落したら、新しい袋をセットします。ゴミ袋は一度の清掃でたくさん使うこともあるので、残量チェックが大切とのこと。チェックすべきポイントがたくさんありますが、チェックシートはすべて頭の中にあるそうです。

洗濯機を回したら、ここからは洗濯が終了するまでにを大方終了させる必要があります。後で脱水するためにコインランドリーに向かわなくてはならないからです。
部屋に備え付けの洗濯乾燥機があっても、パワーが弱く、乾燥に時間がかかるので、乾燥だけは近くのコインランドリーを利用します。

冷蔵庫の中を確認し、残っているものがあれば廃棄します。冷凍室の氷は全て捨てて、新しい水で作り直します。棚には髪の毛などがついていることもあるので、注意しながら全て拭きます。

電子レンジの中と外をしっかり拭きます。

冬でも眼鏡が曇るほどのハードワーク

30分もたたないうちに背中に汗が滲みます。それは冬でも同じだそうです。暑い日は、眼鏡がくもるほど汗をかくそう。

次はお風呂掃除です。佐藤さんは「激落ちくん」(スポンジ)を愛用しています。通常のスポンジよりよく落ちる上に、目に見えない汚れを落とすことができるからです。

洗った後、水ですすぐだけではなく、水滴による水垢残りを防ぐため、固くしぼった雑巾でさらに拭いていきます。取っ手や蛇口の金属部分など、人の手が触れやすいところは念入りに磨きます。ボディソープやリンス類も量を確認し、ボトルを拭きます。ボトルの底も忘れずに。シンクの栓も一旦外して水洗いします。

次はトイレです。流せるお掃除シートを購入することもできますが、割高になるのでトイレットペーパーに「まめぴか」(洗剤)をスプレーして使用しているそうです。

床や、ペーパーホルダーなど隅々まで拭いていきます。

鏡なども重点的に拭きます。ここまでくると、清掃作業全体の山を一つ越えた感じでホッとするそうです。清掃中は一度も椅子に座ったりせず、休憩もとりません。すごい集中力です。

ソファの背もたれや座面を拭いていきます。埃がたまりやすいのはソファの背もたれの頂点なので、重点的に拭いていきます。

クローゼットのハンガーも種類ごとに揃え、間隔を整えて並べ直します。ゲストが置いていったハンガーがあれば廃棄します。

作り付けの収納棚、本棚も天板を一枚一枚拭いていきます。棚の本と収納ボックスは全て取り除いてから天板を拭きます。収納ボックスの中に忘れ物がないかも確認しつつ、それ自体も水拭きします。水拭きの後には埃がこびりついてしまうことが多いため、その後乾拭きを行うという徹底ぶりです。

清掃タスクの敵は「まあいいか」

「お客様がどこを見ているかわからないので、『まあいいか』でなく、隅々まで綺麗にしないといけないんです」

室内に観葉植物があれば、その水やりもします。

床全体に掃除機をかけていきます。髪の毛は掃除機では取れないときもあるので、モップも併用します。スリッパの表や裏も掃除機をかけ、更に粘着カーペットクリーナーで細かな埃や髪の毛を取ります。時折、腰をトントンと叩く仕草も見られました。

次にキッチンの掃除をしていきます。食器類を一つ一つ手に取り確認し、汚れや水垢がないよう布巾で磨いていきます。排水溝は、見える部分だけでなく、ゴミ受けを外して、中の筒状の配水管まで洗います。このぬめりを放置すると、においのもとになるんだそう。コンロやオーブン、換気扇が汚れていれば、こちらも入念に清掃します。

ベランダの清掃です。大きなゴミや飲みかけのペットボトル、灰皿代わりの空き缶などがありがちなので、要チェックです。

窓も水拭きをします。

ここで、洗濯終了を知らせる音が響きました。洗濯物をマイバックに詰めて、洗濯機は機内を乾拭きし、フィルターも清掃します。

物件周辺のコインランドリー情報を日々更新

脱水をするために最寄りのコインランドリーへと向かいます。事前に物件周辺のコインランドリーを調べ、ネットだけではわからない急な閉店に備えて、2、3カ所は頭に地図を入れておくのだそう。マイバックはリュックとトートバッグの2種類があり、量によって使い分けます。

トートバックの時のためのマイカートも持参。

今回の物件の最寄りのコインランドリーは、徒歩15分の場所にあります。もちろん、コインランドリーの近さは物件により様々です。

コインランドリーまでアップダウンのある道を、重いカートを持っているにもかかわらず
早足でどんどん進んでいきます。取材班は何も持っていないのについていくだけで精一杯です。

コインランドリーで乾燥を終えると、再び物件までの道を戻ります。

物件に戻ると、洗濯したシーツ類をかけ、粘着カーペットクリーナーで残った髪の毛をとりつつ形を整えます。粘着カーペットクリーナーはゲストも使用する可能性があるため、使用後は髪の毛や糸くずがついていないかまでしっかり確認します。

再び室内全体に掃除機をかけ、クイックルワイパーで仕上げをします。

最後に髪の毛が落ちていないか確認し、LINEでZensオペレーション部に20~30枚の室内写真を送信、清掃作業終了の報告をします。以上で清掃タスクは終了となります。

清掃にかかった時間は、4時間40分。この日は取材に入っていたので、通常はもっと速いスピードで清掃しています。

前回の取材で「当たり前のことをしているだけ」と語っていた佐藤さん。しかし実際の作業を見てみると、細やかな気配りやちょっとしたコツが、その「清潔さ」項目の5つ星レビュー獲得率を支えていることがわかりました。