10/24の閣議で民泊新法の施行は来年6/15からと決定!これから広がる民泊ビジネスの行方

日本政府は10月24日の閣議で、民泊の規則を定める「住宅宿泊事業法」の施行の日を定める政令と住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例の基準等を定める政令を閣議決定しました。
「住宅宿泊事業法の施行期日を定める政令」及び「住宅宿泊事業法施行令」を閣議決定

ここで明らかになったのは、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行は来年6月15日であることや、
「住宅宿泊事業者」(民泊ホスト)届け出の受付は、2018年3月15日より開始することなど。この詳細レポートはまた、後日お送りします。

民泊新法の成立と規制緩和の流れ

6月に「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が国会で成立し、幾つかの自治体では新条例による規制の見直しが進んでいます。一方で、国は規制緩和を推進しようとしています。

民泊新法をするりと読めば、これまで懸念されてきた違法民泊やグレーゾーン民泊が解決するように思えます。届け出制になるため関係業者が把握でき、衛生面や騒音などの対策が義務付けられることで安心・安全も担保されます。家主(オーナー)が不在の施設は管理業者を置く必要がありますので、仲介業者も登録制になります。

つい最近、東京大田区がこの民泊を利用できる条件を「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に短縮すると発表されました(10/18)。もっとも、ニュースで流れたよりもまだ確度は低く施行時期も決まっていない状態だそうです(大田区保健所に電話確認)。具体的には、条例改正案を11月の区議会定例会に提出する予定とのことです。

東京都大田区と言えば、国家戦略特区を活用した「特区民泊」を全国で最初に導入したことでも全国的に注目されています。特区民泊は地域限定で住宅の空き部屋に有料で客を泊められる制度で、大阪府や大阪市、北九州市、新潟市は2泊3日以上で導入している。大田区は近隣住民などへの配慮から長期滞在者に限定していたのですが、圧倒的に利用者の多い2泊3日以上の宿泊客の予約を受け付けることができるようになることで、一層の利用者拡大を促す方針です。

ちなみに、千葉市も本年内をめどに若葉区と緑区の2区で特区民泊を利用した民泊営業を認める方針。

が、残念ながら、現在はまだ住民トラブルも少なからずあります。そうした声に耳を傾けつつ、環境改善に務めることが関係事業者に求められる課題でもあります。

観光立国に向けて進む準備

遡ること、昨年の3月30日に「明日の日本を支える観光ビジョン」が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」によって決定されました。本年3月28日には、そのビジョンを踏まえるように「観光立国推進基本計画」が閣議決定され、2020年の訪日外国人旅行者数を4000万人と定めるなど、数値目標が示されました。

以下、具体的な数値目標を一覧にまとめました。

では、これを実現していくために掲げられている施策を振り返りましょう。

文化財の開放・活用

我が国には、地域の風土や生活、他国の文化との交流等を通じて育まれ、現在まで守り伝えられてきた多様な文化財がたくさん存在しており、この地域文化の厚みが日本文化全体の豊かさの基盤を成しています。地域のアイデンティティを確保し、地域のきずなを維持していく上で、長い歴史を経て育まれてきた地域文化の精華である文化財はその核となるものであり、後の世代に確実に継承していくことが必要です。
一方で、我が国の社会状況は大きく変化しています。政治、経済のグローバリゼーションの進展や、過疎化や少子高齢化の進展等による地域社会の衰退が指摘されています。文化財は、人々が日常生活の中で守り、継承してきた貴重な資源ですが、その継承の基盤となるコミュニティ自体が脆弱化する中で、地域の文化多様性の維持・発展が脅かされつつある状況にあります。
しかしながら、同時に、文化財に求められる役割に対する期待はますます増大しています。文化財を保存し活用することは、心豊かな国民生活の実現に資することはもとより、個性あふれる地域づくりの礎ともなることから、近年は、地域振興、観光振興等を通じて地方創生や地域経済の活性化にも貢献することが期待されています。
このような社会状況の中、文化財をいかにして確実に次世代に継承していくかについて、未来に先んじて必要な施策を講じることが求められており、これからの文化財行政の在り方について包括的な検討を行うことが必要と考えます。

http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunkazai/kokuho_wg/01/pdf/shiryo_3.pdf
参照

大規模国際会議場(MICE)誘致

外国人ビジネス客を積極的に取り込むため、来訪・滞在環境の整備を進めるとともに、MICE※の誘致・開催を通じて、国際ビジネス・イノベ
ーション拠点としての日本の都市の魅力を発信することにより、日本へのビジネスの呼び込みや、対内直接投資・拠点機能の誘致等を促進し、
我が国の経済をより力強いものにしていく。あわせて、直接的な消費効果はもとより、日本での滞在経験を世界に向けて効果的に発信する等、
発信力・発言力の高い富裕層の積極的取り込みを図る。
さらに、我が国が真の観光立国を実現するためには、量的拡大のみならず、日本を訪れる外国人旅行者に、我が国の歴史的・文化的な魅力を
知り、各地で日本人の暮らし・生き方に直接触れてもらうことにより、深く日本を理解してもらう等、質の高い観光交流を推進することが重要
である。

※MICE:Meeting(企業等のミーティング)、Incentive(企業等の報奨・研修旅行)、Convention
(国際会議)、Exhibition/Event(展示会・イベント)の総称。

http://www.mlit.go.jp/common/001092004.pdf
参照

観光ビザ緩和、旅館業法の規制緩和

外国人旅行者の不便や障害、不安等を徹底的に解消するとともに、訪日外国人旅行者の満足度を一層高める「受入環境整備」は、インバウン
ド拡大に必須の課題領域である。
2016 年度までに空港での入国審査最長待ち時間を 20 分以下に短縮するとの目標に向けた CIQ 要員の「機動的体制」の構築をはじめ、これ
まで以上に、スピード感を持って、あらゆる切り口から、国内において外国人旅行者が移動・滞在しやすい環境の整備に向けた「攻め」の取組
を徹底・強化していく。
また、年間 2000 万人、さらには、その先の年間 3000 万人の訪日外国人旅行者を受け入れるにあたって、航空・バス等の交通機関や宿泊施設
等の供給能力(キャパシティー)が制約要因となることがないよう、需給の状況を丁寧に見ながら、空港ゲートウェイ機能の強化等、適切な対
応に努めることが重要である。
特に、訪日外国人旅行者数が急激に増加している状況を踏まえ、「2000万人時代」を万全の備えで迎えるべく、官民の関係者が十分連携をとっ
て、受入環境整備を急ピッチで進めて行く。

http://www.mlit.go.jp/common/001092004.pdf
参照

Wifi環境整備

「無料公衆無線 LAN 整備促進協議会」を活用し、①事業者の垣根を越えた認証手続の簡素化により、全国津々浦々20 万規模のスポ
ットに一度の登録でサインインできる仕組みの構築、②外国人旅行者に分かりやすい共通シンボルマーク『Japan. Free Wi-Fi』の
普及・活用による「見える化」の推進と利用可能場所のオープンデータ化により、HP やアプリ等の媒体で効果的な発信等を行う。【改
善・強化】
・ 無線 LAN 向けの周波数幅を広げるための取組を進めるとともに、文化財、博物館などの公共施設等における無料公衆無線 LAN につ
いて、2020 年までに重点的に整備すべき約 29,000 ヶ所の整備を促進する。【新規】
・ 空港と都心を結ぶ路線をはじめ、鉄道やバスにおいて、列車内など移動中でも情報の円滑な収集・発信ができるよう、駅外の観光
施設等との接続の連続性を確保することに留意しつつ、外国人旅行者が利用しやすい無料公衆無線 LAN 環境の整備を促進する。【継
続】
・ SIM カードやモバイル Wi-Fi ルーターのサービス提供の促進、国際ローミング料金の低廉化を通じて多面的な通信環境の改善を図
る。

http://www.mlit.go.jp/common/001092004.pdf
参照

宿泊法規制の全体像

民泊と不動産賃貸の関係

そもそも、空部屋のシェアリング(民泊)については、次の区分の中間的な性格があると考えられています。

  • 従来型の旅館・ホテル・民宿
  • 住居

この2つの区別に応じて、各法律上の扱いに違いが生じます。

つまり、各種法律等で、どちらに準じて判断するかという大問題が生まれたと考えられ、さらに、法の規制は、「シェアリングについて」「マッチングについて」解釈・判断が異なっています。
(例:シェアリングが違法判断であっても、マッチングに関しては違法と問われないなどのケースがあります)

規制される法律について

  • 旅館業法:旅館業に該当する場合→営業許可が必要(厚生労働省の管轄)
  • 建築基準法・都市計画法(国土交通省の管轄)
    • エリア(『用途地域』の制限がある)
    • 建物の仕様(耐火性能・採光・換気などの仕様が必須。仮に既存住居を『旅館』にする場合は『用途変更手続』が必要になります)
    • 消防法(防火性能・消防用設備の使用・設置が必須。防火性能の例=防炎のじゅうたん・カーテン。消防用設備の例=消火器・火災報知機・誘導灯等)

既存の法規制として、関係するものは広範に及びます。したがって、複雑な手続きが必要ということでもあります。

小規模住戸で空きがあるとして、その部屋を貸すと考えたと場合、どの判断に相当するかという判断は知識を得ないととても難しいものだと言えましょう。これまでの法規制では想定していない貸出形態と考えられていたからです。

物件ごとの管理規約や賃貸借契約による違反という問題

民泊サービスが抵触するのは、公的な法規制だけではありません。分譲マンションであれば、マンション管理規約に違反することもあり得ます。実際にそのような、「管理組合とのトラブル」という例は数多くあります。また、賃貸物件であれば『転貸』として契約解除をされることも考えられます。

国家戦略特区・規制改革実施計画

上記の通り

民泊と保険という課題

  • 一般の火災保険・住宅総合保険(宿泊客が起こした事故→対象外=免責事項となる可能性がある)
  • 旅館賠償責任保険(旅館業許可が加入条件となっている。宿泊客が起こした建物内での事故→保険が適用される)
  • 旅館業許可なし×保険(旅館賠償責任保険に加入できない)
  • 民泊用保険の登場(民泊に対応した保険の発売が始まっている(平成29年8月現在))

従来の保険商品には、「民泊」に適したものがありませんでしたが、日本政府は規制緩和の方針を示している流れを受け、現在では民泊の普及とともに、保険新商品が開発され実際に販売されるようになりました。

民泊保険
https://minpaku-hoken.jp/

民泊民宿協会「損害補償制度」
https://minpaku-kyoukai.com/member-bonus/

ハイブリット民泊マンション(マンスリー+民泊)の可能性

最後に、民泊新法施行後を踏まえ、賃貸ビジネスよりも利益を出せるビジネスモデルについてご説明しましょう。

民泊新法では、通常「180日規制」

3項 この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条の二第一項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が一年間で百八十日を超えないものをいう。

と呼ばれる「民泊の営業日数が180日を超えないこと」というルールが設けられました。

これに関しては、未だネガティブな意見も活発です。だから、民泊ビジネスは儲からないから止めだ、と。事実、これまではある程度、民泊で利益を出していた物件がこの規制により賃貸ビジネスの方が利益が出せるから賃貸にしてしまおう、という判断もありえます。

しかし、
民泊ビジネスとは、そもそもテクノロジーを駆使した最新ビジネスでもあります。

  • リモートでも本人確認
  • スマートロック活用によるリモートチェックイン
  • 価格最適化ツール活用による利益の最大化・最適化
  • 騒音センサーによるリモート環境保全

など、運営コスト縮減がまだまだ可能です。

そして、
最大180日の民泊営業以外の、185日をいかに運用するかという大きな課題があります。これを、30日以上の定期借家契約で貸し出すことにする「ハイブリッド運用モデル」を勧めています。

どうやるか

  • 国内外の法人・学校に直接働きかけて、マンスリー物件として利用してもらう
  • 国内外のマンスリー仲介サイトに掲載する(集客力の高いプラットフォームに掲載する)
  • 国内外のリロケーション事業者と提携する
  • 一方、民泊単価が高価な4月前後や夏休み、年末年始は貸し出さない
  • マンスリーの予約日程の間隔が30日以内である場合、調整を図る体制を取る

結局、民泊ビジネスの売上とは、
宿泊単価 × 稼働日数
で決まります。この最大化にどれだけ知恵を使っていくことができるか、という点に尽きるのだと考えて、私たちも数々の手法を試行しているところです。

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Zens Insight 編集部
Zens Insight 編集部 16 Articles
編集部では、これまでzensが数百件を超える民泊物件を運用代行してきた実績を生かし、民泊運用に関する豊富なノウハウはもちろん、訪日旅行客のニーズを熟知した同社ならではの集客ノウハウなど、良質で有為なコンテンツの作成・提供を心がけています。

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