民泊新法が発表される!おさえるべき3つのポイントは?今後の市場動向は?

住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)の成立は、2017年6月9日に国会を通過でのこと。

去る9月21日には、国土交通省と厚生労働省が新法施行に向け、政省令案の概要を公表しました。これは、自治体が定める民泊を規制する条例の基準、住宅宿泊事業者の届け出方法、届け出住宅に必要な措置などを明確にしたものです。

10月11日までパブリックコメントを募集していいました。その後、政省令がこの10月中にも公布される予定です。いよいよ、この民泊新法も待ったなし、となってきたと言って良いでしょう。法施行日と同時に施行されます。

以下に、改めてこの法律の概要をみていきましょう。

民泊新法(住宅宿泊事業法)の概要

民泊新法の対象者は?

民泊新法が定義する対象者は下記の3者です。

1.住宅宿泊事業を運営する事業者
180日を超えない範囲で、住宅に人を宿泊させる事業者のこと。民泊のホストがこれにあたります。

2.住宅宿泊を管理する事業者(1.から委託されて管理を行なう事業者)
1.から委託を受けて、住宅宿泊の維持管理をする事業者のこと。Zensなど民泊代行業者がこれにあたります。

3.住宅宿泊を運営する人と宿泊したい人を仲介する事業者
届け出をして許可された住宅に泊まりたい人と、住宅宿泊事業を運営する人を仲介して、契約の媒介をする人。Airbnbなど民泊プラットフォーム事業者がこれにあたります。

民泊新法の概要〜(1)住宅宿泊事業に係る届出制度の創設

6月に成立した新法に基づく民泊施設は「住宅」の位置付けで、旅館業法の適用外となります。住居専用地域などでの提供も可能になる一方、宿泊施設と区別するため、年間の宿泊日数を180日以下に設定されたことが特徴的かつ重要です。さらに、地域の実情に応じ、都道府県などが条例で区域と期間を定めて民泊の実施を制限できるようになります。

新たに制定する政令「住宅宿泊事業法施行令(仮称)」では、都道府県などが定める条例の基準が決められます。

以下、届け出・手続き上の流れを説明します。

 住宅宿泊事業を営もうとする場合、都道府県知事への届出が必要

新法に基づく民泊を始める際、住宅宿泊事業者は都道府県知事などへの届出が必要になります。家主が出張などで長期不在中に貸す場合などは、住宅宿泊管理業者に管理を委託しなければならなりません。さらに、住宅宿泊管理業者は国土交通大臣の登録が求められます。

 年間提供日数の上限は180日

180日を越えて民泊営業をすると旅館業法の対象となるので、その許可がない場合は罰則の対象になります。

 地域の実情を反映する仕組み(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)を導入

住宅宿泊を始めたことによって、騒音などの生活環境の悪化を防ぐ必要があるときは、合理的な範囲で条例を設けて、営業日数を制限することができます。

 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置(宿泊者の衛生の確保の措置等)を義務付け

衛生確保と宿泊人数の制限措置、防災対策とその表示、外国語での設備利用法や交通手段の説明の提供、宿泊者名簿の作成・備付け、騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、公衆への標識の掲示等、業務上守るべき規定が示されています。

 家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託することを義務付け

ホストが不在の民泊物件は、民泊代行業者に管理を依頼することが義務付けられています。都道府県知事は違反を確認した場合、業務停止またが業務の廃止を命じることができます。

民泊新法の概要〜(2)住宅宿泊管理業に係る登録制度の創設

届け出に関する具体的内容は、新たに制定する「住宅宿泊事業法施行規則(仮称)」などの省令で定められます。

民泊を営業する場合(民泊新法対象者の[1.]にあたる事業者)は、都道府県知事または保健所設置市(政令市、中核市など)、特別区(東京23区)など、各地域の住宅宿泊事業の事務処理をするところの長に届出が必要になりました。

新法に基づいて届け出できる物件は、家主の居住物件、入居者募集中の物件、別荘など。それぞれ届出時に証明書類の提出が求められます。住宅宿泊管理業務を委託する場合には、住宅宿泊管理業者の商号、名称などを記載する必要があります。

(届け出書に添付する書類は、住宅の図面、登記事項証明書など。住宅が賃借物件である場合は転貸の承諾書、住宅が区分所有建物である場合には規約の写し、規約に住宅宿泊事業に関して定めがない場合は管理組合に禁止する意思がないことを確認したことを証明する書類などが必要)

一方、住宅宿泊管理業者は国土交通大臣の登録が求められます。

 住宅宿泊管理業を営もうとする場合、国土交通大臣の登録が必要

民泊代行業を運営する場合(民泊新法対象者の[2.]に当たる事業者)は、国土交通大臣の登録が必要です。

 住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置(住宅宿泊事業者への契約内容の説明等)

民泊代行業者は、契約を結ぶとき、ホストに契約書の交付や書面での説明義務があること、誇大広告や事実でないことを告げたりや不都合なことを意図的に隠すことも禁止されています。

国土交通大臣は登録の取り消しまたは業務停止を請求できます。都道府県知事は違反を確認したとき、国土交通大臣に処分を要請できます。

民泊新法の概要〜(3)住宅宿泊仲介業に係る登録制度の創設

住宅宿泊仲介業を営もうとする場合、観光庁長官の登録が必要

民泊仲介業を運営する場合(民泊新法対象者の[3.]に当たる事業者)は、観光庁長官の登録が必要です。

住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置(宿泊者への契約内容の説明等)を義務付け

民泊プラットフォーム事業者は、宿泊者に対して書面での説明義務あること、不当な斡旋や事実でないことを告げたり、不都合なことを意図的に隠すことも禁止されています。

観光庁長官は違反があれば、登録の取り消しまたは業務停止を請求できます。

宿泊実績を2カ月ごとに報告すること

先に好評された政省令案の概要によれば、民泊に必要な住宅の設備としては、「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」の4つが挙げられました。宿泊者の衛生確保のために、居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保し、定期的な清掃や換気を行なうことが求められます。

安全確保のためには、非常用照明器具の設置や避難経路の表示などの措置が必要です。非常用照明器具の設置方法などは別途、告示で定められるようです。

住宅宿泊事業者に作成を義務付ける宿泊者名簿は、作成日から3年間保存をしなくてはなりません。

・名簿は届出住宅などに備え付けること。
・その名簿には、宿泊者の氏名と住所、職業、宿泊日のほか、宿泊者が外国人の場合は国籍とパスポート番号を記載すること。
・また、外国人宿泊者の快適性と利便性を確保するため、住宅設備の使用法について外国語で案内すること。

このほか、宿泊日数の算定方法も明確になります。毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数とし、正午から翌日の正午までの期間を1日とする。

住宅宿泊事業者は、都道府県知事などに対し宿泊実績を2カ月ごとに報告しなくてはなりません。

参考:
観光庁報道発表 http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000318.html
住宅宿泊事業法案要綱  http://www.mlit.go.jp/common/001175229.pdf

民泊新法(住宅宿泊事業法)に対する利害関係者の失望と期待

訪日外国人数の伸びと、国内宿泊者数の伸びにギャップが生まれています。観光庁らの示す数字を見れば明らかで、2016年の訪日外国人者数は前年比21.8%増だったのに対し、延べ宿泊者数は同8%増にとどまっています。

2016年の訪日外国人者数は2400万人。Airbnbでは、日本国内で外国人の利用者が約370万人となっているとしており、単純な計算をするとその割合はすでに15%になっている。日本政府の目標4000万人に達した時、Airbnb利用者のシェアはおよそ25%までと予想されています。

さらに、これまで以上に地方に行く外国人旅行者が増えると予想されており、民泊利用者は全体の20%ほどになる、という展望が語られています。

Airbnb社は、かねてから「アジアの中で日本は最大の市場」と言及しています。今後もインバウンド旅行者は増加が見込まれるため「今後も非常に有望。日本のホストの質は高いので、利用者の満足度も高い」と。さらに、最近では日本人の国内旅行で民泊の利用が増えていることから、「そこにも事業拡大のチャンスがある」と語っています。

また、国内移動やビジネス出張など法人需要についても民泊活用がどんどん増えていきます。「ホテルは割高のため、出張宿泊として民泊を利用する企業も出てくるだろう」との声も大きくなっています。短期の利用ではなく、数ヶ月の滞在など、マンスリーマンションに代わる需要も予測されており「民泊+マンスリー賃貸」のハイブリッド運用を推進する代行業者も増加しています。

民泊新法施行に伴う国や自治体が懸念している事項や2020年に向けたモデル、それを踏まえた新しい民泊モデルの形について下記の記事で紹介していますので、こちらもご覧ください。

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