民泊のバックヤードを支える 『清掃の天使たち』

ホテルの部屋に入った瞬間、前のゲストが残していったゴミや、髪の毛を見つけて、旅行気分が台無しになった経験、だれでも一度や二度はありますよね。

専属のクリーナーがいるホテルなどでもそうなのですから、ましてや個人が部屋を提供する民泊というシステムで、どのくらい清掃が行き届いているのか、不安ではありませんか。

その問題を解決するためにZensで行なっている取り組みをご紹介します。

「清潔さ」は物件のレビュー平均を左右する重要な項目

独自のクリーナー管理システムで清掃の質を担保

実際、民泊物件の稼働率と直結すると言われるのが、その部屋の「清潔感」です。利用者たちは過去のゲストたちのレビューを参考に部屋を選びますが、その中でも一番注目されているのが「清潔さ」の項目です。

部屋の貸し主であるホストそのものが清掃している物件もあれば、清掃専門の会社に外注している物件もあります。いずれにしてもゲストが頼りにできるのは過去のゲストが残したレビューのみです。

民泊運営代行会社Zensの場合は、清掃するのは主にZensと業務委託契約を交わしている「個人」。Zensは自社に清掃品質管理チームを設置し、個人のクリーナーと細かくコミュニケーションを取ることで、清掃の質を担保しています。

Zensは、自社開発したツール「Zens Task」を使うことで、毎日20~50件発生する清掃タスクやゴミ回収タスクのシフト管理をほぼ自動化しています。

各自が自分の都合に合わせてタスクを選び、受託していく仕組みになっています。そして、ゲストが残す「清潔さ」に関するレビューは、クリーナーも見られるようになっています。

丁寧に清掃し、ゲストから確実に5つ星を獲得できるクリーナーは、優先的に仕事を選べ、ベースの報酬がアップしますが、いい加減な清掃で低いレビューを受けたクリーナーには、次の仕事がいかず、結果的に淘汰されていくという、シビアなシステムです。

実はUberやAirbnbなど世界的に大量の個人利用者がいる、シェアリングエコノミーといわれるサービスは、このようにレビューを軸としたインセンティブの仕組みがあります。レビューという仕組みにより、頑張った個人が報われる時代なのです。

トップクリーナーは「5つ星」獲得率95%!

この「清潔さ」項目の5つ星レビュー獲得率が95%以上という、トップクリーナーがいます。それが佐藤陽子さん。30代半ば、ショートカットのすらりとした雰囲気で、ご本人そのものが清潔感にあふれています。

佐藤さんは、Zensのクリーナー約40人の中で、真っ先に清掃タスクがまわってくる一人。1年前からクリーナーとして契約し、1カ月に平均20件前後の清掃を請け負っています。

「これまで様々な仕事を経験してきて、私はデスクワークや組織で働くことが苦手だということがわかりました。だから、これからは自分一人で完結できる仕事をしたかったんです。Zensとは個人事業主として契約していて、仕事も受け身ではなく、自宅からの距離や交通手段など、自分の都合に合う物件、部屋の感じが好きな物件などを、日程も自分のタイミングで選んで仕事ができる点にひかれました」

以前は古着屋さんにお勤めだったそうで、きっかけは弟さんがかつてZensのクリーナーとして働いていたこともあって、前職をやめるタイミングで紹介してくれたといいます。

トップクリーナーの仕事のこだわりに密着!

同日チェックアウト・チェックインシステムを支えていたのは

民泊の清掃タスクをホテルの清掃サービスと同じようなイメージでとらえている人も多いですが、実態はまるで違います。

Zensでは、ホストの収益を最大化させるため、物件のアイドルタイム(ゲストが使用できない期間)を減らせる、同日のチェックアウト・チェックインのシステムを導入しています。そのため、クリーナーたちは、10時のチェックアウトから15時のチェックインまでのわずか5時間という限られた時間の中で、しかもたった一人で、部屋を隅々まできれいにしなければなりません。

ホテルのようにランドリー部門に別のスタッフがいるわけではないので、シーツやタオルなどの洗濯もその時間内に、クリーナーが洗濯機やコインランドリーを使用して行います。トイレットペーパーやボディソープなど、足りなくなった備品の購入・設置や宅配物の受け取りの作業が含まれていることもあります。

さらに、ホテルとの一番の違いは、毎日のように清掃が入っているわけでないこと。必ずしも自分自身が継続的に清掃している部屋とは限らないため、部屋に入って確認するまで、どの程度の汚れが、どこについているのか、予想ができないことです。

クリーナーはまず、清掃前の部屋の写真をスマートフォンなどで撮影し、Zensの管理部門にSNSを使って共有します。基本は通常の汚れや使用状況の報告ですが、非常識なほど部屋が荒れていたり、家具などの破損があったり、場合によってはクリーナーのするべき作業が増えることも多々あります。

(5つ星レビュー獲得率が95%以上のトップクリーナー佐藤さんのマイグッズ)

「初めて自分が担当することになった物件など、『わーっ!これは手強いな』ということもありますが、時間が許す限り、いろんな洗剤や道具を駆使して、ゲストが不快にならないレベルを目指してがんばります」

大事なのは「自分だったら」の視点

ゲストの滞在日数は人それぞれです。長期滞在型の人気物件では滞在日数が1ヶ月を超える場合もあります。自分の部屋を1ヶ月ぶりに丸ごと清掃する場面をイメージしてみてください。その大変さは簡単に想像できるのではないでしょうか。

佐藤さんはどんな思いで清掃に取り組んでいるのか、聞いてみました。

「常に相手の立場に立つこと、ですね。自分だって、床やバスタブに髪の毛が落ちていたら気分が悪いし、タオルや枕カバーが臭ったら嫌でしょう? ただ当たり前のことをしているだけなんです」

清掃で重要なチェックポイントはいくつもあります。髪の毛が落ちていないか、洗面所に水垢や汚れはないか、鏡は磨かれているか、ほこりがたまりやすい場所まで清掃が行き届いているか、項目はさまざまです。

クリーナー自身が納得できた段階で、清掃後の写真を撮影、Zensの管理部門と共有し、ダブルチェックした上で部屋を退出します。物件によっては20枚以上写真をSNSを使って共有し、細部まで確認します。

こういった作業の一つでも雑に扱ってしまうと、「清潔さ5つ星」は獲得できません。佐藤さんはこれまで1日に2件の清掃タスクを入れることもありましたが、自分自身、満足のいくレベルの清掃を行ないたいと、収入が減るのを覚悟のうえで、1日1件にしぼったといいます。こういったところにもプロ意識の高さが伺えます。

「実際のところ、多少手を抜くことはできると思います。綺麗にすることは一種の自己満足ですね。達成感を得るのが好きなんです。もちろん人に褒めてもらえることは嬉しいですが、プロとして収入を得ているわけですから、それ以上の見返りを求めていてはいけないと考えています。」

「でも、せっかく日本を選んで来てくださった外国人の方に、いい印象を持って帰っていただきたいという思いは常にあります。だから、たまにゲストと遭遇したとき、部屋を褒められた時や喜んでもらえた時は、とても嬉しいですね。身振り手振りで話すんですが、そのときばかりはもっと英語ができたらな、と思いましたね」と佐藤さんはほほえみます。

クリーナーは民泊を裏で支えるスペシャリスト

清掃費は部屋の広さやベッド数といった条件で決まっていますが、Zensの場合、支払うのはゲストで、ホストの負担ではありません。ホストは、「清潔さ」の高いレビューに裏打ちされた、安定した稼働率や高収益を、追加の支出なく確保できるわけです。

佐藤さんのように、効率の良さを追求しつつ、常に相手の立場に立って清掃をするプロ意識の高いクリーナーたちはまさに民泊の縁の下の力持ち。ゲストの旅の思い出や満足感とともに、Zens物件の「5つ星」レビューを支えています。

佐藤さんがZensでどのように清掃タスクを行っているか、また多数の物件をZensではどのように管理しているかをこちらの記事でも紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

清掃は「現場で起きている!」 トップクリーナーの一日に密着