住宅宿泊事業法(民泊新法)のガイドラインを解説!注目すべき3つのポイントとは?

2017年12月26日、観光庁は2018年6月から施行される住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)について策定した施行要領(ガイドライン)を発表しました。

民泊事業に関して、健全な普及を目的に全国的に一定なルールとして作られた民泊新法ですが、今回ガイドラインとして法にまつわる解釈や留意事項がまとめられています。

自治体のルールにも影響が出るガイドライン。特に注目すべき点は?

1.宿泊者や近隣の住民に対する対応等が明確に(P20〜P22)

身分不明な外国人の写真

外国人観光客に対して、どこまでの注意喚起や案内を行う必要があるか、近隣住民に対して民泊事業を行っていることについて周知する必要性があるか、など曖昧にされていた点がガイドラインの

  • 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保について(法第7条関係)
  • 宿泊者名簿の備付け(法第8条関係)
  • 周辺地域の生活環境への悪影響への防止に関し必要な事項の説明(法第9条関係)

を中心に記載されています。

各自治体の上乗せ規制で明文化されていた、外国人観光客に対して書面またはタブレット端末などで居室に関する説明や緊急時の避難経路が確認できるような対応(ウェルカムガイドの設置)は、ガイドラインでも推奨されるようになりました。

また、本人確認を対面またはIT技術を利用してそれに準ずる確認を行うこと、ゲストに対し騒音を起こさないよう注意喚起をした上で近隣の住民に民泊について説明をすることが求められるなど、民泊新法の施行が決定した後、各自治体によってばらつきのあった対処法もガイドラインで明確化されました。

2.「ゼロ日規制」に対して法を逸脱した行為だと提示(P28)

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民泊新法の施行後「既存住民の生活環境の悪化防止」を主な理由として独自のルールを制定、検討する自治体が複数あらわれ、中には民泊事業の一切を禁止する地域も出ていました。

それに対してガイドラインの「条例による住宅宿泊事業の実施の制限(法第 18 条関係)」において

本法は住宅宿泊事業を適切な規制の下、振興するというものであり、本法に基づく条例によって年間全ての期間において住宅宿泊事業の実施を一律に制限し、年中制限することや、都道府県等の全域を一体として一律に制限すること等は、本法の目的を逸脱するものであり、適切ではない。

と示し、「ゼロ日規制」に対して明確な否定を示しました。

他にも、家主不在型と家主滞在型を区分している件についても、両者が同様に事業の適正な運営の確保が図られていることから、その2つを分けて規制をすることは適切ではないと記載があります。

各自治体の民泊条例についてはこちらから

3. 住宅宿泊管理事業者になるための条件が発表される(P33)

家主不在型の民泊物件の管理委託をされる住宅宿泊管理業者。民泊新法施行後、民泊事業においては不可欠でとても大きな役割をしめます。

今回のガイドラインでは「住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていることを証する書類」が住宅宿泊管理業者の登録申請に必要だと明示されました。

原文によると、

法人の場合には住宅の取引又は管理に関する2年以上の事業経歴が 記載された事業経歴書、
宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引業の免許証 の写し、
マンションの管理の適正化の推進に関する法律に規定するマンション 管理業の登録の通知書の写し、
賃貸住宅管理業者登録規程(平成 23 年国土交通 省告示第 998 号)に規定する賃貸住宅管理業の登録の通知書の写し、
又は要件を満たす従業者を有する場合における当該従業者についての上記の書類とする。

とあります。これを要約すると、

  • 住宅の取引又は管理に関する2年以上の事業経歴
  • 宅地建物取引業の免許証
  • マンションの管理の適正化の推進に関する法律に規定するマンション管理業の登録の通知書
  • 賃貸住宅管理業の登録の通知書

の4つのうち、いずれか一つを提出しなければ、住宅宿泊管理業者の登録ができないということになります。

ですが原文中の最後に「又は要件を満たす従業者を有する場合における当該従業者についての上記の書類」とあり、企業として以下の書類が用意できなくても、従業員の中に上記の資格を持った人がいれば、その従業員の証明書類を提出することで申請を行うことが可能だと記されています。

民泊の運用形態についてはこちらから

今後の各自治体の動きや不動産企業の動きにも注目

民泊新法の施行決定後、不明確な点も多くインターネット上でも様々な憶測が飛び交ったり、自治体によっては民泊新法の目的から逸脱したルールを制定されたりしていました。しかし、今回のガイドラインが公布されたことにより、民泊事業に求められる動きが明確になっています。

Airbnbなど民泊のプラットフォームにも、違法な民泊の運営をなくすよう協力の要請がきています。(詳細は下記の記事より)

さらに、民泊新法の施行と同日には旅館業法を緩和する方針で改正も行われ、今まで民泊として運用していた物件を簡易宿所営業として登録することも視野に入れることが可能になりました。

民泊新法の施行に向けて、民泊に関わる企業はもちろんのこと、国や自治体も日々動きを見せており事業者であれば日々情報を追いかける必要性が出ています。こうしたガイドラインや法改正を受けて、不動産企業や既存の民泊代行企業、独自のルールを検討している自治体が今後どのような動きをするかにも注目したいところです。

参考:「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」を策定(観光庁)

我妻 柊哉 10 Articles
「ZENS INSIGHT」では記事の制作に加え、全体の運用を担当しています。 民泊代行企業だからこそ知っている民泊に関する情報や、民泊の最新事情に関する解説・見解をお伝えして参ります。 普段はフリーでカメラマン兼ライターとしても活動。イベント撮影や取材記事の撮影・執筆を行っています。